年収から考える住宅ローンの目安とは?借入する際に考えるべきポイントも解説

住宅ローンの利用を検討する際に、住宅ローンと年収の関係について把握しておくと、資金計画の方向性が見えやすくなります。そこで今回は、年収から考える住宅ローンの目安や、借り入れする際に考えておきたいポイントなどをご紹介します。

目次
家を買う人の年収はどのくらい?

住宅ローンを組む場合、どのくらいの年収があればよいのでしょうか。
ここでは、家を購入する人の年収がどのくらいなのかを解説します。無理のない返済ができるように、目安として理解しておくと役に立つでしょう。
家を購入する人の世帯年収は400万以上600万以下が中心

住宅を購入するために融資を利用する場合、その世帯年収の中心となっているのは400万円以上600万円未満の層です。その次に多い世帯年収の層は400万円未満、そして800万円未満と続きます。
参考として、2019年度の平均年収は607万円です。住宅ローンでは、年収以外にも自分で用意する自己資金なども重要な要素です。さまざまな要素があるなかで、年収という視点でみると400万円以上600万円未満の世帯で住宅ローンの利用が最も多いと把握しておきましょう。
注文住宅の購入する人の世帯年収の平均
注文住宅は、自分の希望を実現できるのが魅力です。一方で、建築に自分たちの理想を反映させられる分、予算の幅もさまざまです。
注文住宅の購入で融資を利用するケースでは、世帯年収が600万円未満の人が多くを占めています。土地付きの注文住宅についても同様の傾向を読み取ることができます。
住宅ローンと年収の関係

住宅ローンを利用することによって、手元に多額の資金がなくても住宅購入資金の借り入れができます。しかし、住宅ローンは誰でも利用できるものではなく、さまざまな条件をクリアしなければいけません。その中で、年収はローンの審査で重視される項目の1つです。
一般的に、住宅ローンを利用する額の目安として年収の7~8倍を借り入れすることができるといわれています。実際に借りる際は、年収の5倍が目安となります。
ただし、この数値にはっきりとした定義はありません。まずは、実際に住宅ローンを利用して家を購入した人が年収の何倍程度で借り入れをしたのか見てみましょう。
全国では年収の約7倍
「住宅金融支援機構」の調査によると、土地付き注文住宅の場合は年収の7.3倍、注文住宅の場合は年収の6.5倍の借り入れをしていることがわかっています。土地から探して注文住宅を建てる場合は土地代も必要となるため、融資額が多くなっていることが見受けられます。
エリア別に見る年収倍率
次に、エリア別に年収倍率を見てみましょう。
エリア | 年収倍率 | |
---|---|---|
土地付き注文住宅 | 首都圏 | 7.7倍 |
東海圏 | 7.4倍 | |
近畿圏 | 7.5倍 | |
その他地域 | 7.0倍 | |
注文住宅 | 首都圏 | 6.6倍 |
東海圏 | 6.6倍 | |
近畿圏 | 6.8倍 | |
その他地域 | 6.4倍 |
土地付注文住宅のケースを見ると首都圏が一番多くなっているのに対し、注文住宅は異なる傾向を見せています。首都圏は土地代が高い傾向にあるので、融資額が多くなっている可能性があるといえます。
住宅ローンを利用するのに知っておくべき「返済負担率」

住宅ローンの借り入れ額を決める際には、「返済負担率」が重要なポイントとなります。ここからは、住宅ローンを利用する前に知っておきたい返済負担率についてご説明します。
返済負担率とは?
「返済負担率」は年収のうち年間返済額がどのくらい占めるかを示す割合のことで、「年間返済額÷年収×100」の計算によって求められます。「返済比率」と呼ばれることもあります。返済負担率は各金融機関が住宅ローンの審査を行う際にチェックする重要な項目で、基準を越える場合は返済負担が重くなり、下回る場合は負担が軽くなります。
返済負担率が高いと返済が滞る可能性があり、金融機関にとってリスクが高くなります。このため、融資を受けるための審査が下りなかったり、借入額を減らしたりすることがあります。
また、高い返済負担率で借り入れをすると、住宅ローンを組む本人にとってもリスクが高くなります。家族のライフスタイルの変化や子どもの教育、病気や介護などの要因で想定外に出費が増えた場合に、返済していくのが困難になってしまうこともあるでしょう。したがって、返済負担率には余裕を持っておくのがおすすめです。
返済負担率はどのくらいが目安?
返済負担率の目安は、各金融期間や住宅ローンの種類によって異なるため、明確な基準が設けられているわけではありません。しかし、無理なく返済していくための目安として、一般的には20〜25%に抑えるのがよいと考えられています。また、住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携して長期固定型の融資を行う「フラット35」では審査基準が設けられているので、利用する際には基準を確認しておきましょう。
フラット35の利用条件
年収 | 400万円未満 | 400万円以下 |
基準 | 30%以下 | 35%以下 |
さらに、注文住宅やマンション、中古住宅などを実際に購入した人の総返済負担率は、平均で21.7%というデータもあるため、参考として把握しておくと便利です。
また下記では、返済負担率で見たときの年収別の住宅ローン限度額の目安を表にしましたので、参考にしてみてください。
【年収別】返済負担率ごとの借り入れ額の目安
条件:金利1.0%、35年元利金等、ボーナス返済なし
年収 | 返済負担率(35%) | 返済負担率(30%) | 返済負担率(25%) | 返済負担率(20%) |
---|---|---|---|---|
1,000万円 | 1億330万円 | 9,510万円 | 7,380万円 | 5,910万円 |
900万円 | 9,300万円 | 7,970万円 | 6,640万円 | 5,320万円 |
800万円 | 8,260万円 | 7,080万円 | 5,900万円 | 4,730万円 |
700万円 | 7,230万円 | 6,200万円 | 5,620万円 | 4,130万円 |
600万円 | 6,200万円 | 5,310万円 | 4,420万円 | 3,540万円 |
500万円 | 5,160万円 | 4,420万円 | 3,690万円 | 2,950万円 |
400万円 | 4,130万円 | 3,540万円 | 2,950万円 | 2,360万円 |
300万円 | 3,100万円 | 2,650万円 | 2,210万円 | 1,770万円 |
自己資金の割合

家を購入するための資金計画では、自己資金をどのくらい用意すればよいかといった点も重要です。一般的に、自己資金は総予算の1〜2割程度あればよいと考えられています。
手元の資金に余裕がある場合は多めに自己資金を用意するのも手です。自己資金率を上げることによって、月々の返済額や返済総額が減るなどメリットがあります。ただし、家族を取り巻く状況の変化や予期せぬ出来事によって、急な出費が必要になることもあります。いざという時のためにも、現金が手元に残るように計算して無理のない範囲で自己資金を決めましょう。
住宅ローンは借りられる金額で判断しない

住宅ローンの返済計画を立てる際のポイントとして、借り入れできる金額で判断するのではなく、返していける金額によって判断することが大切です。年収が同じ場合でも、人によって返せる金額は異なります。例えば車のローンがある人、趣味に多くのお金を使う人、子どもを将来的に留学させたい人など、ライフスタイルは個人によって異なります。
また、金利によっても月々の返済額は変わります。
金利が異なる場合のシミュレーション(どちらも元利均等返済)
条件 | 年収 | 返済期間 | 借入金額 | 金利タイプ | 金利 | 総返済額 | 月の返済額 |
条件1 | 500万円 | 30年 | 3,000万円 | 固定金利 | 1.3% | 3,624万円 | 100,681円 |
条件2 | 500万円 | 30年 | 3,000万円 | 変動金利 | 0.5% | 3,231万円 | 89,756円 |
金利のタイプや金利が異なるだけで、月の返済額は1万も変わります。返済総額と月々の返済額などをシミュレーションし、事前に家計や家族のプランと照らし合わて検討しておくのがおすすめです。
住宅ローンを利用するメリットもある
当たり前ではありますが、住宅ローンは返済できる範囲で借りることが重要です。
大きな金額が動き返済額が発生するため負担に感じる場合もありますが、ローンを組むことによって得られるメリットもあります。
例えば、「住宅ローン控除」という制度があります。正式には「住宅借入金等特別控除」という名称で、一定期間住宅ローンを借り入れた場合にローン残高に応じて所得税の控除を受けることができる制度です。既に払った税金に対して確定申告をして還付されます。住宅ローン控除を受けられる期間は10年間と長いため、家計の負担を減らすことができるでしょう。
また、住宅ローン減税のみで負担の軽減効果が十分に及ばない場合、消費税率引き上げに伴う住宅取得者の負担を緩和する目的で導入された「すまい給付金」という制度を利用できる可能性もあります。すまい給付金を利用できる対象者には、住宅を取得し登記上の持分を保有していること、その住宅に居住していること、そして収入が一定以下であること等の条件が定められているので、気になる人は調べてみるとよいでしょう。収入によって給付額が変わるシステムになっています。
住宅ローンの借入額は年収だけで判断しない
住宅ローンの借入額を決める際には、年収も重要な判断要素です。今回は、住宅ローンと年収の関係や知っておくと便利な返済負担率や自己資金、借入額を決めるポイントなどをご紹介しました。
注文住宅を購入する際の資金計画や住宅ローンは、年収だけでは簡単に判断できません。それぞれのライフスタイルやライフプランなどをシミュレーションした上で総合的に判断するのが大切です。
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